親知らずは抜くべき?抜歯が必要な理由や判断基準と注意したいポイント
▼目次
親知らずについて、抜歯が必要かどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。親知らずは、必ずしも全て抜く必要があるわけではありませんが、抜歯が推奨されるケースもあります。今回は、親知らずについての基礎知識から、抜歯が必要な理由や判断基準、そして抜歯時の注意点やケア方法までを解説します。
1. 親知らずってどんな歯?
親知らず(第三大臼歯)は、一般的には10代後半から20代前半にかけて生えてくる奥歯(大臼歯)です。上下左右合わせて4本存在する方もいれば、全くない方、下の親知らずだけある、という方など様々です。
親知らずは、他の歯と異なり、後から生えてくるため、生えるためのスペースが限られていることが多く、正しく生え揃わないことがしばしばあります。これは、人類の進化の過程で、現代人は小顔傾向により顎が小さくなっており、その結果、親知らずの生えるスペースが十分に確保されないことが原因だと考えられています。
親知らずの役割とは
人類にとって、親知らずは硬いものをすりつぶして食べるために必要だったと考えられています。しかし、現代では加工食品や柔らかい食事が普及したため、親知らずの重要性は低下しました。現在では、親知らずが様々な問題を引き起こす原因となることから、抜歯を推奨されることが多くなりました。
親知らずが引き起こす問題とは
親知らずは理想的な方向・位置に生え揃うことが難しく、以下のような問題を引き起こします。
– 斜めに生えようとする:手前の歯との間の歯磨きがしにくくなるため、むし歯ができやすくなります。
– 部分的にしか生えない:歯肉の中に一部が埋まったままになり、歯磨きがしにくいためのむし歯や炎症のリスクを高めます。
– 隣の歯にダメージを与える:手前にある歯を圧迫するため、結果的に歯並びの乱れなどの問題を引き起こします。
2. 親知らずの抜歯が必要な理由-抜いた方がよいケースとそのメリット
親知らずの抜歯が推奨される理由は多数あります。以下に主な理由と、それぞれのメリットを解説します。
①親知らずによる周囲の痛みや腫れ
親知らずが生えてくる際、歯肉を突き破ることで痛みや腫れを引き起こすことがあります。斜めや横向きに成長する親知らずは、周囲の歯や歯肉を圧迫するため、炎症を起こしやすくなります。
抜歯のメリット
抜歯により痛みや腫れの原因が除去できるため、それ以上に炎症を起こすことが防げます。
➁歯並びの悪化
親知らずが手前の歯を押すことで、歯並びが乱れることがあります。
抜歯のメリット
抜歯により歯並びの悪化を予防し、美しい歯並びを維持することで、口腔内の健康を保つことができます。
➂むし歯リスクの増加
親知らずは奥まった位置にあるため、歯磨きが難しく、むし歯になりやすい部位です。
抜歯のメリット
抜歯により歯磨きがしやすくなり、むし歯のリスクが減りますので、他の健康な歯を守ることができます。
④歯周病
親知らずが部分的にしか生えてこない場合、歯の周囲に食べかすが溜まりやすくなります。その結果、歯肉炎や歯周病の原因となることがあります。
抜歯のメリット
抜歯により歯周病を未然に防ぎ、口腔内の健康を保つことができます。
3. 親知らずを抜歯する判断基準について
抜歯が必要かどうかは、歯科医師の診断に基づき判断されますが、患者さんご自身も判断のポイントを理解しておくことが大切です。親知らずの抜歯を決める際には、以下の判断基準を参考にします。
①親知らずが痛みや炎症を引き起こしている場合
繰り返し炎症や痛みを引き起こす親知らずは、早めに抜歯を検討すべきです。
➁親知らずが隣接する歯に影響を与えている場合
親知らずが正しく生えていないために隣の歯が圧迫されたり、むし歯が進行したりする場合、抜歯が推奨されます。
➂親知らずが口腔内の清掃を難しくしている場合
親知らずが部分的に生えている場合や、口腔内の奥深くに位置している場合、歯磨きが難しくなり、細菌の繁殖を助長することがあります。この場合、抜歯をすることで口腔内の清掃がしやすくなります。
親知らずが正常に機能している場合は抜歯しないこともあります。
親知らずがまっすぐ生え、口腔内の他の歯に影響を与えない場合は、必ずしも抜歯が必要ではありません。歯科医師による定期的なチェックで、問題がない限りそのまま維持することもあります。
4. 親知らずの抜歯における注意点
親知らずの抜歯は外科手術になり、術後のケアが重要です。以下は抜歯直後の注意点と抜歯後しばらくのケア方法です。
抜歯直後の注意点
①食事と水分補給
抜歯後はしばらく固い食べ物を避け、常温もしくは冷たい飲み物や柔らかい食べ物を摂取するようにしましょう。術後は出血や痛みがあるため、無理な食事はせず、消化の良いものを選びましょう。
➁出血や腫れへの対処
抜歯後は、少量の出血や腫れが生じることがあります。痛み止めや抗生物質が処方された場合は、歯科医師の指示に従って服用しましょう。
➂アルコールや喫煙の禁止
抜歯後は、傷口の治癒を促すためにアルコールや喫煙を控えることが大切です。これらは傷口の治癒を遅らせ、感染のリスクを高めます。
抜歯後しばらくのケア方法
①口腔内の清潔を保つ
抜歯後の数日は歯磨きが困難なこともありますが、口腔内を清潔に保つために、優しく歯を磨き、うがい薬などを使って口内のケアを行いましょう。
➁安静にする
抜歯後は無理をせず、体をしっかり休めることが大切です。激しい運動や長時間の入浴は控えるようにしましょう。
親知らずの抜歯が必要な理由や判断基準、注意したいポイントについて解説しました。
親知らずの抜歯については、一人ひとりの口腔内の状況によって判断は異なります。
横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニックでは、親知らずについてカウンセリングや必要な抜歯治療をしております。親知らずについてお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
監修:長田 裕行
経歴:
昭和大学歯学部卒業
北海道大学予防歯科医局
熊澤歯科クリニック研修
神奈川県内歯科クリニック分院長
長津田おさまる歯科クリニック開業