親知らずの治療で処方される薬ってどんな種類がある?抗生物質の役割とは
▼目次
親知らずを抜いたあとは、数日間にわたって痛みや腫れ、出血などが見られることがあります。治療後の回復を助けるためには、処方された薬を正しい服用方法で飲むことが大切です。なかでも、感染を予防するために出される抗生物質(抗菌薬)と、痛みや炎症を抑えるための鎮痛薬(痛み止め)は、抜歯後の経過を支える重要な役割を持っています。
「抗生物質ってどんな種類があるの?」「痛み止めはいつまで飲めばいいの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。ただし、薬を中断したり飲み方を間違えたりすると、治癒が遅れる場合があります。
今回は、親知らずの抜歯後によく処方される薬の種類とその役割、正しい服用方法や注意点について解説します。
1. 親知らず抜歯後に処方される薬の種類とは?
親知らずの抜歯後に処方される薬は、大きく分けて「抗生物質(抗菌薬)」と「消炎鎮痛剤(痛み止め)」の2種類です。それぞれの役割を知っておくと、服用の目的を理解しやすくなります。
<抗生物質(抗菌薬)>
抜歯後は細菌が傷口から入りやすく、感染を防ぐために抗生物質が処方されることがあります。代表的な種類は以下のとおりです。
①セフェム系抗生物質
幅広い細菌に作用し、副作用については比較的少ないとされる報告もあります。代表的な薬は「フロモックス(セフカペンピボキシル)」などです。
➁ペニシリン系抗生物質
古くから使われている薬で、「サワシリン(アモキシリン)」などが知られています。ただし、ペニシリン系に対してアレルギーのある方には使用できません。
➂マクロライド系抗生物質
ペニシリン系が使えない場合に処方されることがあります。「クラリス(クラリスロマイシン)」などがその代表です。胃腸への負担が比較的少ないのも特徴です。
<消炎鎮痛剤(痛み止め)>
親知らずの抜歯は骨や歯ぐきに負担のかかる処置であるため、術後は痛みや腫れが出ることがあります。そのため、鎮痛薬が処方されるのが一般的です。主な種類は以下の通りです。
①NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
炎症を抑えながら痛みを和らげる薬で、ロキソニン(ロキソプロフェン)やボルタレン(ジクロフェナク)などが代表的です。ただし、胃に刺激を与えることがあるため、空腹時の服用には注意が必要です。
➁アセトアミノフェン系
胃への負担が少ないことが特徴で、「カロナール」などがよく処方されます。胃への負担が少なく、子どもや高齢の方にも使われることがあります。鎮痛効果はNSAIDsより穏やかとされています。
薬は体質や抜歯後の難易度によって処方内容が変わります。自己判断で服用を中止せず、疑問や不安のある場合は歯科医師や薬剤師に確認しておくことが大切です。
2. 親知らず抜歯後の正しい抗生物質の飲み方
抗生物質は、ただ飲むだけでなく「正しいタイミングと量を守って最後まで飲みきる」ことが大切です。途中でやめてしまうと、治りが悪くなるだけでなく、耐性菌が体内に残る可能性もあります。
①飲むタイミングを守る
通常、抗生物質は1日2〜3回に分けて処方されます。たとえば朝・夕の食後など、決まったタイミングを習慣づけることで飲み忘れを防ぎやすくなります。必ず歯科医師の指示通りに服用しましょう。
➁飲み忘れたときの対応
もし1回分を飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに服用して問題ありません。ただし、次の服用時間が近い場合は、2回分を一度に飲むのは避け、1回分をスキップする必要があります。迷ったら薬剤師に相談しましょう。
➂食前・食後・食間の違いに注意
「食後」とは食事の後30分以内、「食間」は食事と食事の間(空腹時)を指します。薬によって吸収されやすいタイミングが異なるため、用法を守ることが重要です。
④飲酒との併用は避ける
抗生物質の種類によっては、お酒との相性が悪く、体調不良や吐き気などの副作用を引き起こす可能性があります。服用中はアルコールを控えるようにしましょう。
抗生物質は「症状が軽くなったから」といって自己判断で中止せず、処方された分を最後まで飲み切ることが大切です。適切に服用することで、抜歯後の感染予防や回復をサポートできます。
3. 飲み忘れ防止の工夫と親知らず抜歯後に気をつけたい生活習慣
薬を処方通りに飲み切ることは、親知らずの抜歯後に感染や炎症を予防するうえで大切です。しかし、日常生活の中で飲み忘れてしまうことも少なくありません。ここでは、飲み忘れを防ぐための工夫と、回復をサポートする生活習慣について整理します。
<飲み忘れ防止の工夫>
①スマホのアラームや服薬アプリを活用する
日々のスケジュールに組み込むのが難しい場合は、スマホのアラーム機能や専用の服薬アプリを活用すると便利です。決まった時間に通知が来ることで、飲み忘れを防ぎやすくなります。
➁目に見える場所に薬を置く
薬を引き出しなどにしまい込むと忘れやすくなります。洗面所や食卓、キッチンなど、毎日必ず目にする場所に薬を置いておくと意識しやすくなります。
➂1日分を小分けにする
朝・昼・夜で分けて服用する薬は、1日分を薬ケースに小分けしておくと便利です。外出時にも持ち運びやすく、急な予定変更にも対応しやすくなります。
<親知らず抜歯後に気をつけたい生活習慣>
①タバコやアルコールは控える
喫煙や飲酒は傷の治りを遅らせ、薬の効果を弱めることがあります。抜歯後は傷口の治癒が最優先なので、数日間は控えるようにしましょう。
②刺激物を避けた食生活を心がける
香辛料の強い食べ物や硬い食品は、傷口を刺激することがあります。抜歯後2〜3日は、やわらかく、刺激の少ない食事を選びましょう。
③口の中を清潔に保つ
食後はうがいや軽い歯磨きを行い、口の中を清潔に保ちましょう。ただし、抜歯直後は強いうがいを避け、歯ぐきに刺激を与えないように注意が必要です。
薬の管理と生活習慣を工夫することで、抜歯後が過ごしやすくなることがあります。小さな工夫を積み重ねることが、抜歯後の経過を安定させるポイントです。
4. 横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニックの親知らず抜歯治療
横浜市緑区 長津田駅近くの歯医者 長津田おさまるクリニックでは、口腔外科を専門に治療してきた院長が痛み・腫れを抑えた親知らず抜歯をおこなっています。
無理に治療はせず、患者様に負担がかからない治療を心がけており、患者様のお口の中だけではなく、表情の変化や体の反応などを確認しながら治療を進めます。
長津田おさまる歯科クリニックが選ばれる理由
①難しい親知らず抜歯の対応も可能
親知らずが顎骨や歯茎の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉を切開したり骨や歯を削ったりする必要があるため、抜歯する難易度が上がります。
そのような親知らずでも、当院では対応可能なケースが多いです。
※CT撮影後、医師が判断を行い、患者様のリスクが高い場合は大学病院を紹介させていただく場合もございます。
②複数本抜歯など抜歯プラン多数
一般の歯科医院では、親知らずの即日抜歯には対応していません。当院でも、基本的には即日抜歯は推奨しておりませんが、患者様のご要望と口腔内のご状況によっては精密な診査・診断の上で即日抜歯の対応が可能なケースもあります。
また、複数本抜歯にも対応しているため、何度も抜歯に来ていただくことなく1回で抜歯を済ませたい方にはおすすめです。
※口腔内の状態次第では、即日抜歯を行えないケースや大学病院に紹介する場合もございます。
③静脈内鎮静麻酔で眠ったような状態で抜歯ができる
抜歯で最も不安に思われる点は痛みだと思います。麻酔時や抜歯時の痛みを抑えるため、静脈内鎮静法での麻酔の対応が可能です。
静脈内鎮静法とは、静脈注射で抗不安薬や静脈麻酔薬などを使用し鎮静状態にするものです。眠ったような状態となり、痛みを抑えた状態で抜歯を行うことができます。
④痛みを抑えるための短い抜歯時間
親知らずの抜歯にかかる時間は身体への負担が少なくなるため短い方が良いです。時間が長くなると治療後の痛みや腫れがひどくなる可能性があります。
まっすぐキレイに生えている親知らずなど、簡単なケースであれば、抜歯だけなら最短1分ほど対応が可能です。
また、横向きに生えて顎骨や歯茎の中に埋まっている難しい親知らずの場合でもほとんどのケースで30分前後で抜歯が完了します。
長津田おさまる歯科クリニックでは口腔外科に携わってきた歯科医師が診療しますので、親知らずでお困りの方は是非当院までご相談ください。
抜歯が怖い・不安という患者様には時間を惜しまず丁寧に、ご納得いただくまで説明を行います。
まとめ
親知らずの抜歯後には、抗生物質(抗菌薬)と消炎鎮痛剤(痛み止め)の2種類が処方されることが一般的です。抗生物質は感染予防、鎮痛剤は痛みや腫れの緩和を目的としており、どちらも指示通り服用することが大切です。特に抗生物質は、飲み忘れや中断が治療を妨げるため、最後まで飲み切ることが大切です。服用方法の工夫や、日常生活での注意点を意識することで、抜歯後の経過をより良くすることができます。
横浜市緑区長津田駅周辺で親知らずの抜歯ついてお悩みの方は、長津田おさまる歯科クリニックまでお問い合わせください。
監修:長田 裕行
経歴:
昭和大学歯学部卒業
北海道大学予防歯科医局