小児歯科で子どもの押さえつけは必要?子どもの恐怖心を減らす方法

▼目次

 
子どもが歯科治療を嫌がって泣いたり動いたりする様子を見ると、親として戸惑いや不安を感じることもあるでしょう。特に小児歯科では、治療を円滑に進めるために「押さえつけ」と呼ばれる身体を一時的に支える対応が行われることがあります。
しかし、「本当にそれは必要なのか?」「子どもがトラウマにならないか?」といった疑問を抱く保護者の方も多いのではないでしょうか。小児歯科の現場では、子どもの心と体の両面に配慮した診療が求められており、押さえつけが行われる場面には慎重な判断が必要とされます。
今回は、小児歯科における「押さえつけ」がどのような目的で行われるのか、必要なケースと避けるべきケースの違い、そして子どもの恐怖心を和らげる具体的な方法について解説します。

 

1. 小児歯科で子どもの押さえつけは必要?

小児歯科における「押さえつけ(身体の固定)」とは、治療中に子どもが突然動いてしまうことを防ぎ、器具によるケガや誤嚥などのリスクを回避する目的で一時的に身体を支える対応のことを指します。特に、歯を削る、器具を口腔内に入れるといった処置では、微細な動きが大きな危険につながることもあるため、安全確保のためにこの方法が検討されることがあります。
 

①処置中のリスクを避けるために必要な場合がある

例えば、むし歯の進行が早く、すぐに削る必要があるケースや、歯の外傷で緊急対応が求められる場合には、治療を中断できないことがあります。そうした状況下で子どもが動いてしまうと、ドリルや器具が歯茎や舌を傷つける危険があります。押さえつけは、こうした事故を防ぐために選択肢の一つとして検討されます。
 

②小さな子どもには状況の理解が難しいことも

3歳前後の小さな子どもは治療内容の説明を十分に理解することが難しく、恐怖や不安から反射的に動いてしまうことがあります。どれだけ優しく説明しても、処置が始まると泣いたり暴れたりしてしまう子も少なくありません。そうした場合、一時的に身体の動きを抑えることがあります。
 

③心のケアとセットでの対応が前提

「押さえつけ」はあくまでも最終手段であり、子どもの心理的負担に配慮した対応が求められます。たとえば、事前に保護者とよく相談し、どのような場面で押さえる対応があるかを説明しておくこと、治療中も声かけを絶やさず終了後には頑張ったことをしっかり褒めるなど、心理的なサポートが求められます。
 

2. 小児歯科で押さえつけが必要なケースとそうでないケース

「押さえつけ」を行うかどうかは、子どもの状態、治療内容、年齢、発達段階などさまざまな要素を考慮して判断されます。以下に、具体的な判断基準について解説します。
 
 

<押さえつけが検討されるケース>

 

①治療を早めに行う必要がある場合

むし歯が進行している、外傷で歯が欠けているなどの状態では、治療のタイミングが遅れることで悪化するリスクがあります。時間をかけて説得するよりも、できるだけ早く治療を済ませる方が子どもの健康にとって良いとされる場合もあり、その際に押さえつけが一時的に必要となることがあります。
 

②協力が難しい年齢や発達の段階にある場合

2〜4歳くらいの子どもは、恐怖に対して感情をうまく制御できず、思わず手足を動かしたり、大声で泣いたりすることがあります。また、自閉スペクトラム症(ASD)などの特性を持つ子どもの場合、感覚過敏や予期せぬ刺激に強く反応してしまうこともあるため、身体の安定を確保することが検討される場合があります。
 

<押さえつけを避けるべきケース>

 

①強い不安やストレスが予想される場合

すでに歯医者に対して強い恐怖心を抱いている子に対して無理に治療を行うと、その恐怖がより強化されてしまい、以後の通院が困難になるケースもあります。こうした場合には、治療よりも「慣れること」を優先し、まずは診療台に座るところから始めるなど、段階的なステップが有効です。
 

②治療を急ぐ必要がない場合

軽度の虫歯など、放置しても急激に進行しないと考えられる症状では、無理に治療を進めるよりも、子どもが納得して治療に臨める状態を作ることが大切です。結果的に、協力的な姿勢を引き出すことで、治療が進めやすくなる場合もあります。
 

③徐々に治療に慣れてきた段階の場合

何度か通院を繰り返すことで、子どもが少しずつ治療に慣れてくることがあります。この段階で押さえつけを行ってしまうと、積み重ねてきた信頼関係が損なわれる可能性もあります。治療に前向きな姿勢を育てるためにも、無理のないアプローチが重要です。
 

④保護者の希望のみで求めるケース

「早く終わらせてほしい」「泣いているのを見るのがつらい」といった保護者の気持ちから押さえつけを希望することもありますが、医学的な判断がない限り、このような対応は避けるべきです。子どもの成長や発達にとって最善の方法を選ぶことが大切です。
 
 

3. 歯医者に対する子どもの恐怖心を減らす方法

押さえつけを避けるためには、治療前からの「環境づくり」や「心の準備」が重要です。子どもが歯医者に対して抵抗感を持ちにくくなるよう、日常の中で取り入れられる工夫をいくつかご紹介します。
 

①通院トレーニングを取り入れる

いきなり治療を始めるのではなく、まずは歯科医院の雰囲気に慣れることから始めましょう。診療台に座る、器具を見せてもらう、口を開ける練習をするなど、遊び感覚で段階的に体験することで、子どもが環境に慣れやすくなります。
 

②声かけや表情の工夫

「痛くないよ」という表現ではなく、「少し風が出るよ」「お水がピュッと出るよ」など、感覚に基づいた説明をすることで、子どもが状況を具体的にイメージしやすくなります。穏やかな声かけや表情の工夫も、子どもの落ち着きにつながることがあります。
 

③保護者の態度や言葉の影響

子どもは大人の様子にとても敏感です。保護者がリラックスした状態で接することで、子どもにも落ち着きが伝わりやすくなります。「今日は先生にお口を見てもらおうね」といった肯定的な言葉がけを意識しましょう。
 

④小さな成功体験を積み重ねる

「今日は診療台に座れたね」「お口を少し開けられたね」など、小さなステップを一緒に振り返ることで、子どもにとって達成感が生まれ、自信につながる場合があります。
 

⑤ご褒美でモチベーションを高める

小さな達成感を大切にする 診療後に「がんばったね」と声をかけることや、折り紙や絵本を一緒に選ぶ時間を設けるなど、小さなご褒美的な要素を取り入れると、子どもの気持ちの切り替えに役立ちます。これは治療そのものの報酬ではなく、過程を励ます一環として活用しましょう。
 

⑥歯医者ごっこで疑似体験する

ぬいぐるみや人形を使って「歯医者さんごっこ」をすることで、治療の流れや使われる道具に親しみを持つ可能性もあります。こうした遊びの中での体験は、歯医者への不安をやわらげるきっかけになるかもしれません。
 
 

4. 横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニック小児歯科診療

横浜市緑区 長津田駅近くの歯医者 長津田おさまる歯科クリニックでは、「お口の中から全身を健康に」をテーマに、生涯楽しく美味しい食事ができて、元気に暮らせるよう、子どものうちからしっかりと歯科治療・予防歯科を受診いただくことをおすすめしています。
 

【横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニックの小児歯科】

①早期発見で将来の歯を守る子どものむし歯治療

乳歯は永久歯よりも弱いため、むし歯にかかりやすく進行も早いことが特徴です。
そのため「むし歯かもしれない」と思ったら早めに受診いただくことをおすすめします。
長津田おさまる歯科クリニックでは、お子さんの口腔環境を丁寧に検査し、早期発見・早期治療に努めています。
 

②「食育」ですこやかな成長をサポート

「お口の健康」と「食べ物」には深い関わりがあります。
特に幼少期は心身の基礎が形成されるため、どのような食生活を送るかはとても大切です。
長津田おさまる歯科クリニックではお子さんの心身のすこやかな成長のために、食べ方や食事・間食のアドバイスをご提供しております。
 

③顎の成長をサポートする小児矯正

矯正治療は見た目の印象を良くするだけでなく、将来のむし歯・歯周病リスクの低下も期待できます。子どものうちから顎の成長をサポートし、きれいに並ぶ歯並びと丈夫な歯を育みましょう。

横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニックでは、親御さんと一緒にお子さんがしっかり口の中を管理できるよう、お悩みに寄り添い、お子さん一人ひとりに合わせたプランを提案できるように努めています。

まとめ
 
小児歯科における「押さえつけ(身体の固定)」は、治療の安全性やスムーズな進行のために検討されることがありますが、子どもの心に与える影響にも十分配慮が必要です。治療の緊急性やお子さまの発達段階に応じて、適切な対応と心理的なサポートを組み合わせることが大切です。少しずつでも歯科に慣れ、前向きに通えるようになることは、将来の口腔健康にもつながるでしょう。

横浜市緑区、長津田駅周辺で小児歯科に関するご相談があれば、長津田おさまる歯科クリニックまでお問い合わせください。
 
 

監修:長田 裕行


経歴:
昭和大学歯学部卒業
北海道大学予防歯科医局
熊澤歯科クリニック研修
神奈川県内歯科クリニック分院長
長津田おさまる歯科クリニック開業

 
アクセス
MENU
TOPへ